All Entries |  Monthly Archives |  Tag Cloud |  New entry |  Up load | 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ちーちゃんのしあわせ さん







 みなさんこんにちは。天海春香です。
 皆さんには申し訳ありませんが今日は千早ちゃんの紹介は出来ません。というか千早ちゃんのことなんて知りません。
 たとえ千早ちゃんがしきりに目の前でオロオロしながら、ゴメンなんて謝ってきても知りません。
 はるかー。
 千早ちゃんなんて知らなーい。

 どうしてこうなったのか。イライラしてるので説明させていただきます。
 今から一時間ほど前。自分だけのレッスンが午前中に終わり、オフになっている千早ちゃんに連絡を取って、午後からどこか出かけようと約束をしました。ユニットを組んでいるとはいえ、最近はソロでの活動も増えてきたのでなかなか二人一緒で、というのも少ない今。私はウキウキしながらマンションへと戻り、ルンルン気分で居間の扉を開きます。
 千早ちゃんおまたせー。
 しかして帰ってくる言葉はありません。というか千早ちゃんもいません。あ、もしかしたらお着替え中なのかも、とベッドルームへと向かいました。
 扉を開いて唖然としました。というか、あきれました。二つ並べたシングルベッドのうちの一つに千早ちゃんは寝ていました。しかもそっちは私が寝る方。確か今朝、やっぱり私のベッドに忍び込んできた千早ちゃんを避けて起きたはず。格好もその時のパジャマ。まさかと思って千早ちゃんに近づいて、肩を揺らします。
 千早ちゃん起きて。早く行こう?
 はるかー。
 うん、帰ってきたからさ。準備しよう?
 じゅんび?
 うん、準備。
 ……なんの?

 ああもう思い出しただけでもムカムカしてきます。こっちはタクシーかっ飛ばしてまで帰ってきたのに。それなのにそれなのにそれなのにぃっ。
 寝こけている千早ちゃんのおデコをベチンっとはたいて私は居間へ。残ったのは頭をさすったりハテナを飛ばしたりしてる千早ちゃん。そのまま時間は進みに進んでもう窓の外は赤くなっていました。
 あーあ。せっかくの休みなのに。だからといって千早ちゃんを許せるはずがありません。そりゃ確かに千早ちゃんも毎日毎日忙しそうにしてて、電話に出てた時もボンヤリしてる感じだったけど。だったですけど。
 はるかぁ。
 背中から聞こえてくるのは、ライブ後でも殆ど無い千早ちゃんの嗄れた声。一回泣いて二回泣いて。初めに会った時なんか考えもしなかった色んな千早ちゃんが私にぶつかってきました。
 それは春香ちゃんだから見せてくれるのよ。
 プロデューサーさんの言葉がさっきからひっきりなしに過ぎります。分かってます。もう千早ちゃんのことは許してます。出来ることなら今すぐ千早ちゃんに駆け寄って抱きしめて、一緒に泣きたいぐらいです。でも、それはダメな気がするんです。千早ちゃんにも、私にも。
 いつのまにか千早ちゃんの呼ぶ声がなくなっていました。代わりに聞こえてきた寝息に私は振り返ります。そこにいるのは、泣きつかれて眠ってしまった幼い子供みたいな女の子。千早ちゃんはよく眠る子だって、最近になって知りました。まるで今までの不眠を取り返すように。
 よく泣いたり笑ったり。ちっちゃい頃に出来なかったことを今、してるのね。
 寝室から毛布を持ってきて、千早ちゃんに体にかけます。床の上は少し痛いかもしれないけど、あんまりにも気持ち良く寝てるのを私には邪魔できません。泣き散らしてボサボサになった頭をゆっくりと撫でるだけ。

 私も強情張っちゃってごめんね。千早ちゃん。私はあなたのお母さんになれないけど、でも。

 さて、と立ち上がると夕食の準備に取り掛かることにしました。きっと、美味しそうなシチューの匂いに起きだすでしょうから。

 そしたら今からでも目一杯遊ぼうね。千早ちゃん。

管理者にだけ表示を許可する
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。