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女プロデューサー 尾崎玲子 7

性描写がございます






7.拒絶


 絵理が住む部屋はよりによって、尾崎が住むマンションの隣に建つマンションだった。歩いても5分そこそこの距離では同居するよりも性質が悪いように思える。自宅まで送ると言い出すまでは良かったのだが、車ならいらないと言われた時の嫌な予感は間違いではなかったようだ。
 マンションの手前で引き返すつもりが、結局、絵理にズルズルと引っ張られて入室。部屋を見るだけと言ったそばから寝室に連れ込まれると、大人二人でも十分な大きさのベッドに押し倒された。気を失うまで突き回され、差し込む朝日にやっと、尾崎は自分の立場をようやく理解した。
 事務所にて石川に絵理の部屋のことを問いただすと、「もう聞いたのね、流石」と、こちらの事情も知らない彼女から実に晴れやかな返事を貰う。どうやら数週間前から絵理の方から打診はあったらしく、今まで引越しが面倒くさいとごねていたのが嘘のようにトントン拍子で話が進んだという。プロデューサーである尾崎が近くに住んでいるというのも、渋る両親を頷かせるトドメになったとか。もとより、有無を言わせぬとばかりに絵理が率先して動いたせいで、石川ですら容易に口出し出来なかった、とは彼女自身の弁だ。
「あなたを驚かせたいから秘密にして、ですって。羨ましい限りだわ」
 なにがどう羨ましいのか分からないが石川も嬉しそうだった。放任しているくせに何かと煩い絵理の両親から解放してやりたいと、以前から絵理の一人暮らしを勧めていた彼女からすれば降って湧いたような幸運に朝から上機嫌だ。それとは対照的に、尾崎の顔は晴れない。
 とにかくこれで少女を縛るものは何も無くなった。実際、打ち明けられた初日から襲われるなんて大概な状態。オフ日だからと尾崎の後に起きた絵理から手渡された合鍵がやけに重く感じる。
 いつでも、好きな時に?
 小首を傾げる少女の裏側。好きな時とは言うけれど、要は絵理の好きな時。どう返すべきか逡巡していると少女に唇を奪われた。悪戯っぽい笑みは尾崎の心を捕らえて離そうとしない。結局、好き者であることはどちらも変わらないということなのだろう。
 朝方のキスの感触を思い出し、思わず唇に指が伸びるのを寸でのところで止める。もう目の前の女傑は別の話題に移っており、なるべく聞き流しているのを悟られないように自分の席に戻った。一人暮らしの話は事務所の人間は知っているのか、石川との会話を盗み聞いていた愛と涼が野次馬根性丸出しで寄ってきて、尾崎は思わず吹き出してしまう。口を尖らせる愛に久しぶりの安息を感じてしまうあたり、やはり絵理との関係を考え直すべきかもしれない。そう思っていても、あの部屋に入ればあらゆる思慮と努力が徒労に終わる。果ての無い悦楽と堕落。
 その気は無いのに、自分の股間が熱を帯び始めていることを尾崎は確かに感じ取っていた。
 絵理の久々のオフ日ということで残務処理に精を出すも半日で済んでしまう。どうやら他の社員が代わりにやってくれていたらしく、若干、ありがた迷惑のような感情を覚えてしまった。尾崎の携帯電話は先ほどから絵理のメールの応対で忙しなく、目を通していないものの、その内容は容易に推し量れる。根負けしてメールを覗くと、やはり、といった風に尾崎は僅かに肩を落とした。
 仕事、まだ?

 わざわざ専用の駐車場まで借りていることに妙な健気さを覚えながら、尾崎はハンドルを切った。車を滑らせ、駐車する間も周囲に気を配る。プロデューサーの自分がアイドルの自宅まで行くことには何ら問題はないが、それでも不用意に絵理の家を他人に教えてしまうのは忍びない。いくら呼び出した相手がプロデューサーとしての尾崎ではなく、性欲を解消させる為に呼んだのだと分かっていても彼女はプロデューサー足らんとする。もうそれは執着に近く、残り少ない理性とも言えた。
 渡された鍵で止まることなく部屋の前へと進み、呼び鈴を鳴らすとすぐにドアが開き、尾崎を招き入れる。その強引さは招き入れる、というよりも引っ張り込むに近い。二人以外の人間から見れば年若い少女が信頼する姉を部屋に急かすようにも見えるだろう。しかし、二人の心中はそんな微笑ましいものではなく、待ちかねた少女の瞳は内からの情欲に燃え盛っていた。
 部屋に連れ込まれると、朝方よりも片付いた部屋が目につく。引っ越したばかりで部屋の脇にはダンボールが積まれていたが、その一角は見事にパソコンとその周辺器具一式に様変わりしていた。腕を引っ張る少女の後頭部に視線を移し、尾崎はざわめく胸を抑え込む。
 芸能界に活躍の場を移しても絵理がパソコンから離れることはなかった。もちろんELLIEとしての活動はとうに終えていたが、それでも当時からのファンだと名乗る人間が現れると、その目はまるで昔を懐かしむように穏やかなものになる。今の華やかな世界を絵理自身、気に入っていることは分かるが、時に電子の世界に焦がれてしまうことを尾崎は気づいていた。その感情を、その記憶を尾崎はもう否定しようとしない。以前は単語を聞くだけでも苦々しかった彼女も、絵理やサイネリアと触れていくことで気づかないうちに感化されたのだろう。あの独特で閉鎖的ながらも心地よい世界は、絵理やサイネリアのような人間には必要な世界なのだと。けして口には出さないが、尾崎は思うようになっていた。
 ネットの話を恐る恐るながらも懸命に、楽しそうに喋る少女に尾崎もけして邪険に扱うことはない。理解できたお互いの距離をこれからやっと縮めていく、そんな晴れやかな未来が待っているはずだった。ただ絵理にアレが生えてからは、そういった話もとんと聞かなくなった。全てが、あの歪な欲望の塊によって壊されていく。無力感だけが尾崎の思考を鈍らせた。
 寝室に通されると、まだ昨夜からの性行為が匂いの残滓として残っていた。振り向いた絵理が蕩けるような表情を浮かべ、その顔とは裏腹に思い切りよくベッドへ押し倒される。ろくに雨戸も開けていない部屋は昨夜のことを繰り返すように、少女を暗く虚ろなものへと変えていった。少女と女。同性同士では成立しないはずの行為が夜通し行われ、失神するまで犯されきった体が尾崎の意思を無視して反応する。視界の下では既に臨戦態勢になっている少女の逸物が、その存在だけで女の体を縛りつけている。尾崎は自分の中で必死に否定しているが、既にその顔は雄に従順な雌のそれだった。
 徐々に少女の体が降下していき、一足先に剛直だけが尾崎の下腹部に触れると二人はビクリと体を震わせる。その硬さ、大きさに先の行為を尾崎が想像するのはもちろんだが、絵理もまた尾崎の媚肉の味に期待してしまう。セックスの相性という意味でも、二人は最良のパートナーであった。
 もう観念したのか、尾崎はじっと目を閉じて待っていたのだがなかなかやってこない。見れば、彼女から体を離した絵理はゴソゴソとベッドの下で何かを探していた。またいやらしい道具でも出してくるのかと思っていたが、出してきたものはある意味、尾崎にとって"いやらしいもの"だった。
「セーラー服って」
 思わず苦笑いするものの、少女は真剣そのものだ。「着て」という言葉も億劫なのか、尾崎の服に手をかけると乱暴に引っ張って脱がそうとする。反射的に抵抗しようとするが、絵理はその抵抗こそが楽しくて仕方ない。脱がすたびに露わになる肌そのものよりも、脱がされて羞恥に染まる尾崎の顔がなによりも絵理の心を弾ませた。それを知っている尾崎としては無抵抗を貫こうとするが、引き裂かんばかりの力にどうしても手が止まらなかった。
 やめて、と口から衝いて出て、やっと絵理の横暴は止まる。その代わり、差し出される制服に眉根を寄せるが、もう少女は許してくれそうもなかった。
「着替えるから」
 そう言っても当然、絵理は動こうとしない。二人の位置が逆転し、ベッドから離れた尾崎はセーラー服を手にしたまま立ちつくした。いくら室内が暗いとはいえ、絵理の目の前でストリップ紛いのことをしなければいけないなんて。それ以上に恥ずかしいと思うことを沢山、されてきた癖に律儀に恥ずかしがる尾崎。彼女の心中をそこまで知ってか、絵理はやはり楽しそうだ。その瞳にはきちんと急かす意味も込められ、尾崎は意を決して上着に手をかけた。
 はたしてこの制服がちゃんと服として機能するのはいつまでだろうか。下着に集中する視線から逃れるように、尾崎は背中を向けた。

「ん……はぁっ!」
 重ね合わせた両の掌は絡み合い、ベッドの中へと押し込まれていく。上になった少女が動くたびに、その下で尾崎が嬌声を漏らす。解かれたセーラーカラーにたくし上げられた裾からはキスマークを所々に刻まれた乳房が揺れ、突く度に絵理の目の前で美味しそうに揺れた。むしゃぶりつき嘗め回し、赤子では到底出来ないテクニックで吸い付く。キュッ、ともう存分に濡れている膣肉が締まり、絵理は応えるように乳首に歯を立て、甘く噛んで見せた。
 露わにされた尾崎の腹の上には、先ほどからの行為の後であるコンドームが器用に置かれている。高校生のように貪欲な性欲から放出された精液は量も多く、その量を見るたびに尾崎は恥ずかしそうに顔を背けた。もちろん、息も絶え絶えな今では見る余裕も無い。絵理は徐々に腰の奥から沸きあがってくる射精感に腰を震わせた。
 徐々に少女の動きが小刻みになってくると、合わせるように尾崎もシーツへと放り出していた足を絵理の体へと絡ませる。絵理の背中でがっちりと交差させると、腕もまた彼女の首へと回した。絵理の顎がちょうど尾崎の肩越しまで沈み込み、後はもう射精を待つだけ。お互いに確認することも無く行われる男女としての行為。
 ふぁ、っと尾崎の耳元で吐息が漏れると、膣奥を軽く叩かれる感触がした。射精している。腕の中でその体を震わせる絵理に見えないよう、尾崎は微笑む。自分の体で気持ち良くなってくれた。この射精は、この精液は自分のもの。意識せずとも女の本能ともいうべき情動が彼女を支配する瞬間。平生は必死に違うと言い聞かせている欲望も、今だけは尾崎の体の中を駆け巡っていた。
 ひとしきり射精を終え、ゆっくりと陰茎が引き抜かれる。その先には1,2回目と変わらない量の精液がコンドームの中でのた打ち回り、もしもゴムの膜を食い破っていたらと思うと、と妄想めいた想像に尾崎はいつも苛まれた。首を横に振り、なんとか自分をプロデューサーの顔に戻すのだけれど、セックスの後では滑稽でしかない。またコンドームを引き抜いた絵理は楽しそうに、尾崎の目の前でゴムを揺らして見せた。散々繰り返しているのに、尾崎はやはり目を背けてしまう。
 疲れたのか、尾崎の横に絵理はゴロンと転がった。キングサイズのベッドならもっとスペースもあるというのに、少女は暑苦しいくらいの距離を保つ。ただ添い寝するだけでも少女の手は尾崎の体のどこかに触れており、今も胸をまさぐる手に、尾崎はもどかしそうに体を揺らした。腹の上に置かれたコンドームが滑り落ち、跡を残すように、なだらかな窪みにはコンドームから垂れた精液が線をひく。
 あまり気持ちが良いものでもなく、尾崎がコンドームを拾い上げ捨てていると、もう絵理は寝息を立てていた。食欲、性欲を満たせば次は睡眠欲。今まで何もかもを遠慮してきた彼女には好きなことをやらせたいと尾崎は常々、思っている。ただ、金の無い大学生のカップルのような生活はいかがなものなのか。いつもここまで考えて、答えの出ない事に無理やり納得してみせてベッドへ戻る。
 本当は答えを出したくないくせに。
 必要以上に正直な自分がそうごちる。うるさいとばかりに振り払うのだけれど、思ってしまうことをそう簡単に止められるほど、尾崎は単純な人間ではない。上体だけ起こし、もう夢の世界へ行ってしまった絵理を見る。無駄な肉など一切ついていない体はある意味でアスリート然としているがなかなかどうして、スポーツとはまた違う筋肉に覆われた体は寝ているだけでも芸術品のように思えた。白磁のように磨き込まれた肌。けして無骨な筋肉ではない、女を思わせる柔らかな肉。シルエットだけでも期待させてしまうその造形。頭の先から徐々に視線を下ろし、我ながらその完成度に惚れ惚れとしてしまう。下半身にはもう硬度を失ったペニスが見えていても、尾崎は慣れてしまえば、と自分に嘘をついてみせた。
 すぐ寝てしまったせいで、まだ精液や愛液やらでドロドロの絵理の陰茎。尾崎は気持ち悪いだろうから、と言い訳を繰り返して彼女の股間に顔を埋める。鼻腔に広がる性臭がまた尾崎を高ぶらせ、舌を這わせるのもそこそこに尾崎は可愛らしい逸物をほお張った。
 お掃除フェラって言うのよね。あっという間に綺麗になったそれをしゃぶり続けたまま、尾崎は襲ってくる眠気に抗わずに目を閉じた。

/

 少女の切羽詰った声で目を開くと、今にも発射しそうな陰茎の先がこちら向いていることに目を剥いた。
「えっ……!」
 名前を呼び終える前に飛び出してきた白濁液に目を閉じる。眼球に精液をかけられると失明するってどこかで読んだような、なんて暢気なことを考えながらも射精は止まることなく尾崎の顔に降りかかった。射精を終えると、ジロリと尾崎は視線を向けるが、上で跨る絵理は惚ける様な顔で気持ち良さそうだ。口を開こうにも、精液が唇から入り込んできて上手く出来そうになかった。
 しばらく尾崎を見つめていた絵理は思い出したように亀頭を尾崎の顔に押し当てる。まるで自分の臭いを彼女に刷りつけるマーキングのように、絵理は髪までかかった精液を満遍なく尾崎の顔に塗りたくった。
「……どうしてこんなことをするの?」
 なるべく腹から出したつもりの低い声も、雄の臭いに顔が綻ぶのを抑えるだけで精一杯で迫力が追いつかない。ニヤニヤとした顔で彼女を見下ろす絵理の顔がすべてを物語っていた。
「尾崎さんの方が、くわえてた?」
 そこでやっと昨日のことを思い出す。おそらく起きたら自分の陰茎を咥えこんだままの尾崎を見たのだろう。尾崎は一度、大きく嘆息して「そうね」とだけ返した。太陽の光が届かない空間はどこでも、人を狂わせるものなのかもしれない。部屋いっぱいに広がる性行為独特の臭いも二人に拍車をかけていた。
 精液で汚れた顔も構わず、絵理は尾崎に挿入しようとゴムに手を伸ばして慣れた手つきでそれを装着する。当たり前のように尾崎の足を開こうとしたところで、絵理は動きを止めた。ぼんやりとその様子を見ていた尾崎も、首を傾げる。真剣な絵理の眼差しが少しぼやけて見えた。
「尾崎さん、イヤ?」
「え?」
 手で頬を拭うと、精液の中に確かに涙が混じっていた。途端に目から溢れてくるものを止められず、代わりに絵理がティッシュで顔を拭こうとする。止まらない涙に混乱して思わず少女の手を振り払うと、自分のしてしまったことに「ごめんなさい……」と、力のない声を絞り出すので精一杯だった。ぎこちない時間は遅く進み、絵理がもそもそとベッドから抜け出す。
「もう、やめる?」
 背中越しに言われる絵理の言葉に、尾崎は固まった。ずっとそう望んでいたはずなのに、実際に言われるとこうも崩れそうになるのはなぜなのか。既にヒビの入ったガラスの強度など知れたもの。薄氷の上を歩くような関係を続けていることは覚悟していたはずのなのに、もう冷たい海は寒くて溺れてしまう。二の句を継げない尾崎を弱いと言い切れるかどうか、それはとても難しい。
 絵理。搾り出した言葉のなんと弱いことか。無言で閉まるドアの先へと消えていった絵理に、尾崎は絶望の相貌を隠せなかった。

 そう、これで良い。絵理はにやつく顔を抑えられず、背後の様子を確認しながら顔を崩す。
 ちゃんと見たわけではないが、尾崎の落ち込み様は背中越しからでも十分に感じ取れた。自分でも大根と分かるおざなりな芝居。それでも彼女はアッサリと騙されてくれた。普段の尾崎であればすぐに看破できたであろうことも、自分のこととなればまるで霧の中をさ迷う様に分からなくなる人だ。絵理はそんな尾崎をこそ愛おしく思い、また可哀想だと感じている。
 正直、やめるだなんて口に出すのは嘘だとしても辛かった。これで本当に尾崎が身を引いてしまえば何もかも終わり。ただ、絵理が思う最後の一歩には必要なこと。最大の利益を得るためのリスク。その為にここまで追い込み、尾崎に快楽を覚えさせてきた。もう断れないはず、はず、はず。ここまできてしまった以上、悪いことは考えないようにしていた。
 尾崎さん。あと、もう少し?
 同じようにノロノロと部屋から出てきた尾崎にどういう顔を見せようか。絵理は直前まで考えながら彼女のほうへ振り向いた。



つづく

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